社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
「な、なに言ってんの? あんたに心配されなくてもね——」
「はいはい、もうおしまい。あなたたちふたりいつになったら、仲良くできるの?」
仲裁役の貴和子さんがあきれた様子でふたりを止めた。同期同士の汐里さんと成瀬さんは会えばいつもこんな調子だ。しかし、お互い一緒にいることが多い。
「滝本が、朔乃ちゃんみたいに可愛ければ俺だってこんな言い方しないのにねー。朔乃ちゃん」
「え? 私ですか……」
いきなり話を振られて、お箸で掴んでいた人参を落としてしまう。
「そうそう、こんな山盛りご飯食べるようなの、女じゃねーよ」
汐里さんの前のお膳を指さしながら話す。
「……悪かったわね」
声のトーンを落とした汐里さんを見ると、目を伏せていた。
「あ……」
私と、貴和子さんは同じことを思ったようでふたり顔を見合わせる。
「お待たせしました」
「おっ! うまそう。ほら、お前もさっさと食えよ。午後から外回りだろう。時間なくなるぞ」
箸が止まっていた汐里さんの背中を成瀬さんが、バシンと叩いた。
「そ、そんなこと、成瀬に言われなくてもわかってるし」
食事を再開した汐里さんだったけれど、さっきみたいに箸がすすんでいない。しばらくすると、箸をおいて立ちあがった。