社内恋愛症候群~クールな上司と焦れ甘カンケイ~
しかし、そんな私の感謝もできなくなる状況がすぐに訪れた。
いつも通り仕事に打ち込んでいると、デスクの上の電話が鳴る。内線電話だった。
「はい、河原です」
『あっ、深沢です、ちょっと俺のところまで来れる?』
軽い口調だったが、部長に直接呼び出されるということはなにか重大な話だ。思い当たることもないまま急いで、部長のいるブースまで行きノックした。
「どうぞ」
中から返答があってから、扉を開くとそこには深沢部長とともに衣川課長もいた。それが余計に私の緊張を煽る。
「私、なにか問題でも?」
我慢できずに、深沢部長のデスクの前に立つと自分から口を開いた。
「いきなり呼び出して、ごめんね〜。そりゃ驚くよね。急にこんなところに呼び出されたら」
「あ、はい」
いつもの軽い様子に少しだけ安心したけれど、衣川課長はいつもの無表情のままで感情が読み取れない。
「ちょっと、お願いがあるんだ」
「お願い……ですか?」
「うん。第二営業部からくんが欲しいと打診されてる。結構前からオファーされてたんだけど、どうかな?」
第二営業部は主に官公庁向けの仕事を行っている部署だ。隣のビルのフロアになる。
事異動……年末のこんな時期に?