社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
二次会のカラオケの大きなパーティルームでは、日頃のうさを晴らすかのごとく大きな声でアニメソングを熱唱する深沢部長の姿があった。

「あの人、遊びも全力だな」

入り口に立って、ポソリと成瀬がつぶやいた。私も同感だ。そんな深沢部長が入り口に立っている私と成瀬に気がついて、マイクで叫んだ。

「今日の主役がお出ましだ! こっち来て一緒に歌えー!」

深沢部長は手招きして、成瀬を呼んでいる。隣を見るとまいったなといった表情の成瀬がkコートとジャケットを脱いだ。

「仕方ないから行ってくる。これ、持っといて」

バサッと脱いだばかりのスーツを私に渡すと、そのまま深沢部長の隣でマイクを握った。

渡されたジャケットにはまだ温もりが残っていて、思わずぎゅっと抱きかかえてしまう。

私ちょっと変態っぽいな……きっとお酒呑んでるからだ。仕方ない。自分に言い訳しながら熱唱しているふたりを見た。

イケメンふたりのステージは、カラオケボックスだったけれど見応え抜群だ。(たとえアニメソングだとしても)

男ばかりのむさ苦しい部屋だったけれど、大いに盛り上がっている。こういう時にちゃんと馬鹿できるメンバーが結構好きだ。

私が入り口付近で立ったままでいると、向かいの席にいた若林くんが手招きしてくれた。私がどこに座るか悩んでいると思ったのだろう。後輩だけど本当に気が利く。

若林くんが確保してくれた席の近くには、ちょうどハンガーラックがあってそこに成瀬の服を掛けてから座った。
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