社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
「なに飲みますか?」

「じゃあ、ジントニックで」

私のオーダーを聞くとリモコンを操作して、すぐに注文してくれた。やっぱり気が利く。

ステージでは歌い終わった成瀬がビールをいっき飲みしていた。

あ〜あ。お酒そんなに強くないはずなのに、大丈夫なのかな?

ちらりと見たけれど、ニコニコと笑っていてまだ平気みたいだ。

扉が開いて、店員さんが私のジントニックを持ってきてくれた。開いた扉の向こうに貴和子さんの姿が見える。

「あれ? どうしたんですか?」

部屋の中の私を見つけると、軽く手を振ってくれた。

「俺が誘ったんです。蓮井さん成瀬さんと結構仲がいいですよね?」

「うん」

去年までは同じフロアにいたから、今この部屋にいるメンバーとも旧知の仲だ。やっぱり若林くんは気が利くな。これが今時の男の子なのかと感心する。

店員さんと入れ替わるようにして、部屋に入ってきた貴和子さんに若林くんが尋ねた。

「蓮井さんはなににしますか?」

私に聞いたのと同じようにメニューを見せている。

「んーと、ハイボール」

「分かりました」

またもや器用にリモコンを操作して、あっという間に注文を完了した。

「本当に良く気がつくわね」

「貴和子さんもそう思いますか? 合田さんよりよっぽど役に立ちますよ」

「ちょっと、滝本さん……」

私の言葉に眉をひそめて、まわりをぐるっと見渡した。きっと合田さんを探しているのだろう。
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