社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
「どうして、ひとりで安藤さんと食事に行ったんだ?」

「だって……」

「だってじゃないだろう!」

思わず体がビクッとする。

今までの聞いたことのない成瀬の剣幕に驚き目を見開いた。いつもなら言い返す私の口は、震えるばかりで言葉が出てこない。

「お前、自分がどういう状況だったかわかってるのか? あのまま俺と多田さんがあの場に行かなかったらどうなってたと思うんだ?」

どうなっていた……? いやだ、そんなこと想像したくない。

想像しただけでも、みぞおちのあたりが痛くなる。

成瀬の言っていることはよく分かる。自分が馬鹿だったってわかってる……本当に情けない。

「ごめんね。馬鹿で」

「違う、そういうことじゃ——」

「違わない。契約のことで頭がいっぱいで、こんなことになるなんて……ぜんぜん思っても見なかったんだもの。成瀬に言われなくたって自分が悪いってわかってる。情けなくて、あーもう、本当に馬鹿みたい」

一気にまくし立てると、それまでなんとかごまかしてきた涙がボロボロとこぼれ落ちた。一度流れ出した涙はどうやっても止まらなくて、私は泣き顔をみられたくなくて顔を覆って情けない顔を成瀬から隠した。

「滝本……」

どうしてこんな情けない自分ばかり成瀬に見られるんだろう。もっと同期として彼と切磋琢磨出来る関係でいたいのに、それさえもかなわないなんてつらすぎる。

どうせならいっそ……。
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