社内恋愛症候群~イジワル同期の甘い素顔~
……情けない。契約にまどわされて相手の目的なんて考えていなかった。

鏡に映る不甲斐ないほど動揺した自分の顔を見て、頬を二度叩いた。

「ちゃんとしなきゃ」

私は、もう一度気合を入れなおして座敷へと戻った。


「ありがとうございました」

小料理屋を出たところで、タクシーに乗り込んだ多田さんと安藤さんを見送った。

下げていた頭を上げた私は、悔しさで唇を噛みしめていた。

「お前は、バカなのか?」

冷たく怒りがこもった成瀬の声に、彼を仰ぎ見た。その瞳は冷たく私を睨んでいる。

「いいから、来い」

私の腕を掴んだ成瀬は、私を引きずるようにして歩き始めた。

「ちょっと、痛いよ」

抵抗する私に見向きもしないで、どんどん歩いていく。いつもとあまりにも違う様子の成瀬に黙ってついていくことしかできなかった。

彼が私を連れてきたのは、繁華街のはずれにある公園だ。周りが木々に囲まれていて、近隣住民の近道に使われているのか、足早に歩く人がいた。

端にある街灯の下まできたときに、成瀬が急に足を止めて私の手を離した。すぐに振り返って、眉間に皺を寄せたまま話し始めた。
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