今夜、君にラブロマンスをささげよう。

 両親が亡くなって6年という月日が過ぎ、わたしは高校になったけれど、いまだわたしができることは少ない。


 それでもわたしはお義姉さんの邪魔にならないよう頑張らなきゃいけないのに……。

 高校だって行かせてもらってーー。

 それなのにわたしってば勉強もそこそこ。
 これといって何の取り柄もない。


 志月さんみたいにならなきゃいけない。

 わたしには才能がない。

(だからその分、勉強も運動も、もっともっと頑張らなきゃいけないんだ!)


 決意すれば、ブレザーを持つ手に力が入る。


「すまない、聞いてはいけないことだったかな」

「いいえ、もう過去の話ですから……できました」


 ボタンを取り付け終えたわたしは志月さんにブレザーを返した。



「ありがとう、本当に裁縫上手いね」
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