朝陽。




1年生の階に差し掛かった瞬間、繋いでる手に力を入れて彼を引き止めた。



「どうした?」


「ねぇ」


「ん?」




『別れたくない』


そう、口に出そうとして思い留まった。

そんな我儘迷惑だ。



頭を傾げ私を見つめる彼に小さな声で発した。




「大好きだったよ」


「……」


「ラブレターを貰うずっとずっと前から大好きだったよ」


「……」


「この廊下で初めて話しかけられた瞬間からずっと好きだったよ」


「……」


「今までありがとう」



これから私はどれくらいの歳月を掛けて彼を『昔好きだった人』と思えるのだろう。


何度泣いて、何度立ち止まって次の恋へと歩き出せるのだろう。




「朝陽」



彼の名前を初めて声に出した時、私は何故か嬉しくて、怒られる程何回も連呼したなぁ…。



「幸せになってね」




貴方への特別な感情が違う感情に変わった瞬間、この言葉の想いはきっと今よりも願うことができるだろう。



だから、朝陽。



「朝陽、大好きよ」




今はこの素直な言葉を伝えさせてね。


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