本を片手にあなたと恋を

話を変えようと、思い付いたままに言ってみた。


「鈴木くんって人気者だよね。」


「は?」


本当に驚いた顔。

「それこそ初めて言われた。というか、何で?」


「私ね、実は月曜日の朝にも本返しに行ったの。」


「一組に?」


「一組に。」


頷いて見せる。


「声かけてくれればよかったのに。」


「だって、楽しそうだったから割り込みにくかったんだもん。」


「ふーん。それで、どこが人気者?」


「鈴木くんって輪の中心なんだなぁって思ったの。」


やっぱり、よくわからないという表情の拓海に付け足す。

「ごめん、それだけ。忘れて。」


自分でこの話を振ったくせに、後悔してる。

何で、本人にこんな話してるんだろう。


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