本を片手にあなたと恋を
「輪の中心か…。」
ゆっくりと繰り返した拓海に美桜は何となく居心地が悪くてまくし立てる。
「そう、私とは違うね。私、みんなで盛り上がったりあんまりできないし。ノリが悪いって言うのかな。」
自分がそんなこと気にしてたことに初めて気づく。
ずっと、気になってたもやもやがあった。
輪の中で笑う拓海に距離を感じた。
どんどん後ろ向きになる自分が嫌になる。
こんなことが言いたい訳じゃないのに。
「佐々木と話すの楽しいけどね、俺は。」
ごくごく自然に言われて、思わずうつ向きかけてた顔をあげた。
「俺、佐々木と一緒にいる時間が好きだし。もっと話したいって思うよ。」
目をしっかりと合わせたまま言われた。
なぜだか、泣きそうになった。
「ありがとう」
出てきた言葉はそれだけだった。
何て言ったらいいのかわからないけどあたたかい想いが溢れてくるのを感じた。
「と、とにかく、そういうことだから。」
急に赤くなった拓海はそう言うと、ガタンと音を立てて立ち上がる。
「本の整理してくる。」
と言いおいて、若干急ぎ足で歩いていった。