ドラマ好きの何が悪い
『今、駅地下のだるまやで飲んでる。もし近くにいるならどうぞ。ハルカちゃん、寝ちゃいそうだけどね。』

眠そうなハルカもかわいい。

まぁ、基がかわいいから、何してもかわいいんだけど。

『今会社帰り。丁度いい場所にいるじゃん。今から向かうよ。』

って、今会社帰り??

何時まで残業してんの。

普段のちゃらけた感じからは想像もできない。

ハルカの言うように仕事もできる、と言われるだけあるんだろうか。

『遅くまでお仕事ご苦労様-。どうぞどうぞいらっしゃい。かわいいハルカちゃんはもうおねむだけど。』

送信した時、ハルカの眠気が少しましになった。

顔を上げて、私をじっとにらみながら言った。

「ミナミ先輩、さっきから誰にメールしてるの?まさかいいお相手いるんじゃないでしょうね。」

「はは、もうすぐ来るよ。」

「誰誰?」

私は「ふふふ」と意味深な笑いを浮かべた。

「まさか、まさかのまさか?」

ハルカは急にむくっと起き上がって背筋を伸ばした。

さっきまでのトロンとした目がどこかに行って、いつもの大きな二重が一層大きくなる。

「そう、まさかの相手が今から来るわ。」

「ちょっと、そういうのやめてよー。心の準備もお化粧直しも時間がいるんだってぇ!」

両頬を抑えて、首を左右に振っているハルカの表情は、恋する乙女だった。

「かわいいよ。いつでも、ハルカは。」

私は笑った。

カイトに会う時はいつもほぼすっぴんの私は、少々化粧が落ちてる状態でもふだんよりましなわけで。

化粧直しなんて考えもしなかったけど。

やっぱりハルカは違うのねぇ。憧れだもんね。カイトのやつに。

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