社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
それから順調につき合いを続けて、十二月の初旬の金曜日、私は若林くんを自分の部屋へ初めて招待していた。
今日は彼の二十四回目の誕生日だ。
欲しいものを聞いたら『お祝いしてくれるだけでいい』なんて最も困る答えが返ってきて、悩んだ私は、よく本を読んでいる彼に革製のブックカバーと手料理をプレゼントすることにした。
時計針が十七時半をさすと、すぐに帰宅して早速料理に取り掛かった。
「えーと、まずはトマトから切ろう」
私は冷蔵庫から、トマトとバジル、それからモッツアレラチーズを取り出して、カプレーゼを作り始める。
最初に作っておいて、冷蔵庫で冷やしておけばいい。
料理は嫌いじゃないけれど、人に食べさせるのなんて、いつぶりだろうか。
ちょっと緊張しながら、頭の中で手順を整理する。
そんなに時間のかからないアクアパッツァを作ることにして、出勤前に下準備してあった材料を取り出して、作りはじめる。
—―ピンポーン
インターフォンが鳴り、来客を知らせる。
「もう来たの? まだ全然準備できてないのに」
慌ててオートロックを解除すると、ほどなくして彼が扉のまえのインターフォンを押した。
すぐに、玄関に向かおうとして、ふいに立ちどまる。壁にかかっている鏡で少し前髪を直してから、彼を出迎えた。