社内恋愛症候群~小悪魔な後輩君に翻弄されて~
気になどしていない。していないはずなんだけど……。
気が付けば私は、営業部のフロアでエレベーターを降りていた。
自分でもなにがしたいのかわからない。けれど足は廊下をドンドン進んでいく。
しかし、休憩ブースの前を通り過ぎたときに中から声が聞こえた。
「もう、本当に助かっちゃった。若林くん、ありがと」
「いえ、よかったですね。仕上がって」
合田さんは私に背中を向けているし、彼女の陰に私が隠れているので、ふたりから私は確認できないみたいだ。
思わず足を止めて、耳をそばだてた。
こんなことしても、なにもいいことなんてないってわかっているのに、体がいうことを聞いてくれない。
「あれ、蓮井さんが担当なんだよね。遅れると怒られちゃうから」
「今回は少しなので、謝れば大丈夫ですよ」
「そうかなぁ。なんかぁ、自分に出来ることは、誰でもできると思ってるでしょ? 自分の能力ひけらかすみたいな感じがして、苦手なの」
彼女とは去年まで同じ営業課にいたのに、そんなふうに思われていたの?
好かれてはいないと思っていたけど。
でも、三木さんにも同じようなことを言われた。それを考えるとやっぱり自分に否があるのだろう。