仲間ってなんだろう

「ねえ美那。あなた一体どんな心境の変化なの?」




瑞希がグラスを持って言った。




「みんな乾杯してるのに1人で沙羅を待ってるなんて。」




「もお!何でもいいじゃないですか瑞希さん!」




自分の極端な変化には美那自身が1番驚いていた。




「そんな律儀に待ってなくてもいいじゃない。

沙羅も遅れはするけどちゃんと来るってスタッフさんも言ってたんだから。」




夜の飲み会に参加しているメンバーはもう酒が回って騒ぎ出していた。




そんな中でも自然に晴樹を目で追ってしまう自分に、美那はため息をつく。




「……今更ながら、沙羅には悪いことをしたなって思ってます。」





「芸能界なんて、そんなものだと思うけどね。いくら仲が良くても相手の人気に嫉妬して蹴落とそうとするなんて、一般的な行動だと思うけど?」





瑞希にストレートな言葉を浴びせられて美那は言葉に詰まる。




「…まあ、その仲直りしようって気持ちが重要なの。

私も早く沙羅と話したい!」




その時、貸切で騒いでいた居酒屋の扉が開き沙羅が顔を出した。



一瞬で辺りが静かになった。




「ごめんなさい、遅れました。」




「沙羅さん!」




1人の女性スタッフが沙羅に走り寄ってその手を掴んだ。




「来てくれてありがとうございます!無理言ってすいませんでした。」




「いえいえ!気にしないで下さい。」




紗羅の笑顔に美那は緊張を覚えた。





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