仲間ってなんだろう

いろんな人に声をかけられながら、紗羅はだんだんこっちに近づいてくる。




「…まぁ、後はゆっくり2人で話合いなさい。邪魔しないように晴樹は私が捕まえとくから。」




「邪魔って…」




美那の言葉に瑞希はふふっと笑うと、大勢が騒ぐ輪の中に入って行った。



それと入れ替わるように紗羅が美那の正面に座った。




「瑞希さんは?」




「お、お酒とってくるって。」




「ふーん。久々に瑞希さんとも話したかったのに。」




紗羅は店員が持ってきてくれたグラスを持ってため息をついた。



美那はそんな紗羅をじっと見つめた。




(紗羅って、こんなにまつ毛長かったっけ)




こんなに紗羅のことをちゃんと見たのは初めてな気がした。




高校の入学式で初めて会って以来、紗羅は美那にとってライバルであり、憧れの存在だった。




「…よく、来れたね。」




「ん?」




美那の言葉に紗羅は首をかしげた。




「飲み会。忙しいんじゃないの?この前新曲出したばっかりだし。」




「そーなんだけどね。

今日撮影に顔出した時に「来て下さい」ってそれはもう熱心にお願いされちゃって。


そっちは?

Starlightもこの頃新曲出してたじゃない。」




「新曲って言ってもほとんどダンスだから、舞台が第一。

紗羅みたいに声だけの仕事はあんまりこないんだよ。」




それからしばらく、2人の間に沈黙が続いた。



2人共何事もないように話しているが、お互い話を途切れさせないように必死だった。




「……ごめんね。」




「え?」





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