年下わんこに要注意
彼は私の左手をすくい上げると指にキスをした。
「…結菜、愛してるよ。結婚しよう。」
薬指にはダイヤがついたリングがはめられている。
「え?指輪……」
「ゆいちゃんの誕生日にと思ってたけど、俺から逃げようとするから。」
彼はにっこりと笑ってもう一度私の指へキスをした。
「…嬉しい……。」
「…………。」
「…はるくん、ありがとう。」
「本当にゆいちゃんって、いちいち可愛いよね。」
「……え?」
幸せで穏やかな空気だったはずなのになぜか怪しい空気へと変わっていく。
「…ゆいちゃん、もう逃げようなんてしないでね。」
彼の指が私の体のラインに沿うように肌を撫でてくる。
先程まで散々致しましたよね……?
私は引き攣り笑顔で彼を伺うが、止めるつもりはなさそうだ。
「早く子供産んで欲しいな。ゆいちゃんにそっくりな子供に会いたい。」
にっこり笑顔でいつものように要求を通してくるので、確信犯だろう。
「そうだね。はるくんに似てたらきっと美人さんだから将来大変そう。」
彼は私の言葉にくしゃりと泣き笑いのような顔を見せた。
「色んな意味で俺には似ない方が良いよ。将来本当に苦労するから。」
本当か冗談か分かり兼ねるが、多分本当なのだろうから触れないでおく。
イケメン様はご苦労なさっているのですね。
私は彼の事情は知らないが、きっと色々大変な事を経験しているからこんなに大人びているのだろう。
彼が言うように本当に私が彼を癒してあげられているならいいな。