やさしい先輩の、意地悪な言葉
外の空気を吸いながらゆっくりと外を歩く。

体調はもう問題なかったので、さっき映画館に向かう途中で通りすぎたファーストフード店に入ることにした。

あと少しでお昼時だし、少し早めのお昼を食べに喫茶店とかファミレスとかに行こうかと神崎さんは言ってくれたけど、体調が戻ったとはいえゾンビ映画のあとでいまいち食欲がなく……神崎さんがよければということで、軽めのお昼にしたくてファーストフード店に来た。
神崎さんは、「もちろんいいよ」って答えてくれた。


「なにか買ってくるから、ここで待ってて」

店内の空いてる席を確保すると、神崎さんがそう言ってくれた。


「い、いえ、私が」

「大丈夫だよ。具合悪くしたばかりだし、座ってゆっくりしてて。なにが食べたい?」

「あ、な、なんでも好きです」

「オッケー」

そう言って神崎さんはレジの方へ向かっていった。


……ありがたいなと思いながら、私はイスを引いて、お言葉に甘えてひとりお先に席に着く。



……ありがたいなというのはもちろんだけど、神崎さんがもし……もしだけど彼氏とかだったら、きっとすごく大事にしてくれる。

時にはケンカすることもあると思う。

でも、ケンカしても神崎さんみたいな人ならきっと、頭ごなしに怒るんじゃなくて、私の話も聞いてくれる。

隆也は、明らかに隆也が悪い場合も、私が怒ると必ずそれ以上に逆上して、いつも私が泣きながら謝って終わってた。
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