やさしい先輩の、意地悪な言葉
そもそも、別れる前からちゃんと大事にしてもらってたのかな、とも感じた。


「ごめんね、お節介なこと言って」

「いえ……」

私は神崎さんの言葉に首を横に振った。


そして。



「……その通りだと思います」



自然と口から出た言葉だった。
神崎さんは、私の言葉が意外だったのか、少し目を丸くさせた。
私も、自分の言葉が自分で意外だと思ってしまった。

あれだけ隆也に依存していた自分。それは確かな事実。

なのに、こんなにあっさりと、隆也との恋愛を『素敵じゃない』と口にした。心の中で思うことはあっても、誰かに口にしたことは一度もなかったのに。



……一度発した言葉は、当然だけど引っ込めることはできない。
そう思ったら、言葉がさらに自然と続いた。


「あ、のっ、私、元カレと付き合うまではほかの誰とも付き合ったことがなくてっ」

「うん」

「あの、ひよこって生まれて最初に見たものを親と思うって言われてるじゃないですか。あれと似てるかもって……。
私、話し下手だからそれまで男性にあんまり好かれなくて、でも元カレはそんな私と付き合ってくれて……。
最初に付き合ってくれた人だったから、本当に特別だったんです。元カレが離れていったら、自分がひとりぼっちになっちゃうような気がして……それで依存しちゃっていて……。
おかしいですよね、友だちもいるし、元カレを失ってもひとりぼっちになんてならないのに」
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