強気な彼から逃げられません
そんな人と一緒に仕事ができる怜さんも、きっと優秀な弁護士なんだろうな、と、嬉しい気持ちも確かにあるけれど。
「ん?芹花、どうしたの?」
目の前の美絵から心配げな視線を向けられて、思わず笑顔を顔に貼り付けた。
「なんでも、ないよ」
へへっと笑った私に、愁さんも、怪訝そうな、そして心配そうな表情を浮かべた。。
「怜がいないと、寂しい?」
愁さんの言葉に、私はこくりと頷いて。
「そ、そうです……」
心に生まれた不安をどうにかやり過ごそうとしても、やっぱり気になって仕方がないのは、さっき愁さんの口から出た、聞き覚えのある名前だ。
「……彩実か? だろ?」
「え……」
「この間、彩実もタクシーに乗っていたし、睨まれたもんな。そりゃ気になるよな」
訳知り顔の愁さんにどう答えていいのか戸惑いながらも、その言葉を否定できず、私は俯いた。
「たしかに彩実は怜狙いだから。今回の出張で、何かしでかすかもな」
「愁っ」
意地悪な愁さんをたしなめる卯月さんの大きな声。
美絵も真二くんは私に同情的な視線を向けたかと思うと、すっと視線をずらし、愁さんに厳しい視線を投げる。
「芹花ちゃん、どうする? 彩実はがんがん押すからなあ」
愁さんは面白がるように私をからかい、酔っぱらっているわけでもなさそうな真面目な瞳で私に詰め寄る。
その様子に怒りを隠さない卯月さんから、背中をたたかれながらも私を探るように見つめて。
……怜さん。