強気な彼から逃げられません
低くて重いその声からは、本気で愁さんに怒っているとわかり、しまったと思っても後の祭り。
明日愁さんと喧嘩にでもならなきゃいいけど。
ほんの少し、自分の発言に責任を感じながらも、愁さんへのいらだちを隠そうとしない怜さんの声を聞いただけで……単純かな。
彩実さんへの私の不安はかなり軽減された。
「怜さん、早く会いたい」
こぼれるように、私の口から本音が飛び出した。
「ちゃんと、他の男の人と絡まずに待ってるから、予定通り、ちゃんと帰ってきてね」
『ああ、俺も芹花と早く会いたいから、できるだけ早く帰る。とはいっても、飛行機の時間は決まってるんだけどな』
大きなため息とともに聞こえた怜さんの言葉には本音以外何も感じられなくて、心底私に会いたいと思ってくれていると実感して嬉しくなる。
自分が会いたいと思う気持ちと同じ分だけ、会いたいと言ってもらえる幸せ。
これまで怜さんからそれを感じなかったわけではないけれど、ちゃんと言葉にしてもらえると、その幸せを更に強く感じる。
『週末、こっちに来るか? 土曜も午前中は仕事で、午後からしか一緒に過ごせないけど。あ、明日仕事休めるなら……明日にでも』
怜さんからの、そんな思いがけない誘いにかなり舞い上がってしまう。
仕事を休んで怜さんに会いに行く、なんて魅力的な事だろう。