その顔が見れるのは私だけ

由衣ちゃんが差し出してくれる片方のイヤホンを今日も借りて一緒にラジオを聴く。

「~本日もお送りしております、afternoonradio。今日はメッセージをたくさん読みながらみなさんのランチタイムを楽しくしていきたいと思います。~」

『沙保先輩、今日もメッセージ送ってみましょうよ。』

『送ることないからいいよ。』

って、言っている間に由衣ちゃんが昨日と同じ速技でリクエストフォームの空白を埋めていた。

『送信っ!』

今日は何を送ったのかも教えてくれないのね…。

『内容は読まれてからのお楽しみです』

由衣ちゃんの笑顔憎めないんだよな~。しかも読まれる前提なのがすごいなぁ。


「~それでは昨日に続いて、ラジオネーム 電車のお姉さんからいただきました、ありがとうございます。

『読まれましたね!』
由衣ちゃんがドヤ顔で私をみつめてくる。
あいかわらずのラジオネームだし、内容は何を送ったのかドキドキなんですけど。


今日のヒロさんの電車での読書は絵本じゃなかったですね。電車で本を読むときは急停止にご注意くださいね。
といただきました。ご忠告ありがとうございます。あ、今日読んでた本ですが、来週のブックトークのコーナーで紹介するのでタイトルはナイショですよ~

あ、そういえば、急停止にご注意ください。と言えば、今日実際に電車で本を読んでたら急停止のときに落としてしまったんですよ。そのとき本を拾ってくれたかたがいたんですが、その人が昨日話していた電車でおばあさんの荷物を持っていたやさしい女性だったんですよ。~」

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