④オオカミさんのプロポーズ エリート課長の専決事項
明日、朝早くから出張の熊野にあわせ、二人ともビールを一杯だけ頼む。
燈子はやたらと陽気に、何やら近頃ハマっているコミック雑誌の話をし続けていた。
ニコニコとそれに頷きながら、熊野はジワジワと焦りを感じていた。
このままいくと、どうやら今日もいい感じには持ち込めそうにない。
店を出るともう10時。別れがたい熊野は、わざとゆっくりと近くの駅まで歩いていた。
身長が190を越える熊野は、155に満たない燈子と並ぶと親子ほども違う。
「…でね、視聴率は最低、主役同士がダブル不倫で。これがもう、評判最悪なんですけどねー、これがまた面白くって」
「ふぅ~ん、そうなんだ…」
今度は、絶賛不人気の深夜ドラマの話を嬉々として続けている…
「と、ところでトーコちゃんっ…あの…」
「ほ?」
それを半分ほど聞き流し、熊野そおっと彼女の右手を取ろうとした時だった。
「あ…」
燈子は突如右手を上げ、口元を覆った。
スカッと熊野の手が宙を掴む。
ふと、彼女の視線の先を見ると______
燈子はやたらと陽気に、何やら近頃ハマっているコミック雑誌の話をし続けていた。
ニコニコとそれに頷きながら、熊野はジワジワと焦りを感じていた。
このままいくと、どうやら今日もいい感じには持ち込めそうにない。
店を出るともう10時。別れがたい熊野は、わざとゆっくりと近くの駅まで歩いていた。
身長が190を越える熊野は、155に満たない燈子と並ぶと親子ほども違う。
「…でね、視聴率は最低、主役同士がダブル不倫で。これがもう、評判最悪なんですけどねー、これがまた面白くって」
「ふぅ~ん、そうなんだ…」
今度は、絶賛不人気の深夜ドラマの話を嬉々として続けている…
「と、ところでトーコちゃんっ…あの…」
「ほ?」
それを半分ほど聞き流し、熊野そおっと彼女の右手を取ろうとした時だった。
「あ…」
燈子は突如右手を上げ、口元を覆った。
スカッと熊野の手が宙を掴む。
ふと、彼女の視線の先を見ると______