君に遺された恋
夢にまで見た。
触れたかった君が、僕の腕の中に居る。

ミラの頭を撫でながら僕は目をつむった。



王は僕が居なくなったことにいつ気がつくだろうか。

使用人はもう既に僕を捜し回っているだろうか…。



「レグルス…?」

「何?」

「あなたの胸の音、すごく速い。城のこと、気になるんでしょう?」

「おっとバレたか。」

「あなたの事だもん…分かるわ。」


そしてしばらく沈黙が続くとミラが小さな声で話し始める…


「この街を抜けて丘を越えた所に、昔住んでいた家があるの…」

「え?」

「私はまだ小さかったからあんまり覚えて無いんだけど、
ここに来る前はそこに住んでたってお母様が教えてくれてね…
今は使ってないから、少し荒れているかもしれないけど、その…

私と一緒にそこで暮らさない?」
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