君に遺された恋
転んでぶつけた。なんてレベルのアザじゃ無いことは分かる。

青紫の大きなアザは胸にも、背中にも広がっていて
私は完全に固まってしまった。


見つかっちゃしょうが無い…そんな顔だろうか。
レグルス様が悲しそうな顔をして…
だけど私を安心させようとしてか、無理に笑顔を作った。


「アル?びっくりさせたね。」



「これ、内緒にしててくれないかな?」


…言葉が出てこない…
やっと口が動いてくれたと思ったら

「誰が…そんなひどいこと…」

なんてプライベートに突っ込んだ質問。


「ごめん。アル。それは言えない…
でも大丈夫だから…そんな顔しないで?」

レグルス様が私の顔をのぞき込む。



はっと頭をよぎるのはベッドに押し付けられたレグルス様にまたがるミラ。

あの女がそんなことを…?


レグルス様、怪我したって言ってた…

思い返せば、朝だって彼女の名前を呼んでうなされていた…


ミラは魔女の娘だって噂で聞いたし…。
優しいレグルス様を魔法で騙してその気にさせて
ひどいことしてこの城を自分の物にしようとしてるんじゃないか…


「ひどい…」
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