君に遺された恋
「うっ…くっ…ぁあああああ!!!」

私は家に帰るなり自分の部屋で血を吐いた。


痛い。苦しい。助けて…


ガチャ

「お、母さ…ま…?ぅっ…!」

「まだ昼なんだけど、苦しむの早くない?ってかもう力使ったの?」

「一滴…血を…」

「あーはいはい王子の血、飲んだのね。良い子。」

「…?」

「早くあの城潰したいんだよ。」

「ぅ…っく…」

「あーもー汚いな。血ってなかなか取れないんだよ?」



お母様がそう言って部屋から出て行こうとする。

私はお母様の言葉の意味がよく分からず、思わず腕を掴んで引き止めた。


「城…つ…ぶす…?」

口から血が溢れてうまく話せない。


「もう!汚いって言ってんでしょ?!その手で触らないで!!」


バタン!

荒っぽくドアを閉めて出て行くお母様を力なく呼び続ける。
だって私にはお母様しかいない…

お父様は…生まれたときから居ない。
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