君に遺された恋
「お前の許嫁のトリア嬢が今晩城に来る。
夕食の後私の部屋に来なさい。」

と、父さんが俺に言う。

何故だか思い出せないが、俺は困惑して心なく返事した。



許嫁がいたんだ…

そうとも知らず俺は…あの人を…

…?あの人って誰だ…?


この歳になっても一人の友達も居ない。
いい話じゃないか。


夕食を終えて父の部屋に入ると
綺麗なブラウンの髪の女の子がちょこんと座っていた。


「はじめまして、トリアと申します。」


行儀良く、ワンピースのすそを持ち上げてお辞儀する彼女に、
俺は何故だか触れたいとも思わなかった。

初めて見る同じような歳の子だから…?


いや…困惑していただけか…
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