強引同期と偽装結婚することになりました
「ダイエットでもしてんのか?お前。まあ確かに身長はチビだけど、そんなに気にするほどでもないだろ。ほら、行くぞ」


あっという間にパソコンの電源を落とされて優木くんに手を引かれ、部署を出た。身長はチビって。そりゃ優木くんから見たら小さいかもしれないけど158センチはある。


そんなことより本当にどうしよう。この手を振り払って逃げるしかないかな。でも、そんな元気もあるはずがない。空腹は恐ろしい。


「ほら、俺のおごり。お前、ここのカレー好きだろ?ナンもお代わりしていいから好きなだけ食え。今日は企画が通ったお祝いだからさ」


結局、連れて来られたお店は会社近くのインド料理店。ここのカレーは辛さもちょうど私好み。

それ以上にお気に入りはナンで一人前でも食べきれないくらいの大きさなのにペロリと食べられるくらい美味しい。

ここにハマって週に3日くらい来ていたところを偶然、優木くんに会ってそれから何度かよくお昼に一緒に来ていた。


「ほら、チーズナンも頼んでシェアするんだろ?チキンカレーでいいか?お前、結局メニュー見るくせにいつもチキンカレーだもんな」


コクンと頷くと優木くんはすぐに店員さんを呼んで、注文をしてくれた。おごりって言ってくれたけれどやっぱり申し訳ない。

ここで1000円は消えてしまうけれどやっぱり払おう。よし、最後の晩餐のつもりでいっぱい食べてやる。
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