強引同期と偽装結婚することになりました
「葵さん、うちのひいばあちゃんのためにありがとう。祐兄から結婚はやめて偽装結婚するって聞いたときははあ?って思ったけどこんな偽装結婚ならみんなが大歓迎だよ」


「うん。私もこんな偽装結婚なら喜んで協力させてもらう」


「でもさ、ちゃんと兄貴の嫁さんになってよ。オレらみんな、葵さんのこと、大好きなんだからさ」


「うん。待ってるよ。赤ちゃんのお世話なら任せて。大翔で慣れてるからさ」


「あっ、赤ちゃん?!」


赤ちゃん?!急にそんなこと言われて戸惑ってしまう。でも、いつか優木くんの赤ちゃん産めたらいいな。


「葵さん、兄貴に言っててよ。オレもうこの車、運転できるし、親父の代わりはオレが引き継ぐからこれからは自分のために時間を使えって」


「そうそう。一人暮らしの葵さんの家に通ってるのに、絶対、夜中でも帰ってくるんだもん。大翔はともかく、もうあたしたちだって子どもじゃないのにさ」


「お前はまだ子どもだろ。とにかく、オレたちはもう大丈夫だからこれからは二人で過ごす時間を大事にしてよ」


これから、結婚式なのにもう涙が止まらない。優木くんの家族は本当にみんな、お互いのことを思いあっていて、大事にしている。


私ももっともっとこの人たちを大切に思いたい。自分の家族と同じように。
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