強引同期と偽装結婚することになりました
「お勉強させてもらおうかな」

「よし、じゃあ支度して降りて来いよ。俺は車、回してくるからさ」

煮詰まっていた私に営業への同行を提案してくれた。本当に私のピンチを救ってくれるヒーローだな。

社長に営業に同行したいと話すと今日は電話も少ないからと快く了承してくれた。

「ごめんね、お待たせしました」

優木くんの乗る営業車の後ろのドアを開けると柳くんに助手席を薦められた。えっ?いつも同行するときは後部座席に座るの?

疑問に思ったけれどもとりあえず、助手席のドアを開けて乗り込んだ。

「柳くん、私、助手席に乗っていいのかな?私のためにあけてくれたの?」

「いや、自分は常に後ろですから」

「そう、なんだ。って柳くん、今、仕事中だよ。携帯は良くないんじゃないかな?」

「大丈夫っす」

はい?何が大丈夫??私の忠告をまったく無視してそのままスマホをいじり続ける柳くん。

なんなの?!給料泥棒になりたくないとか言って、がっつり遊んでるじゃない。


「ちょっと、優木くん。あれいいの?」

「・・・ほっとけ。何、言っても聞かないし、営業先でやったら許さないけど車の中だしな」


「ダメだよ。たとえ、車の中でも仕事中だよ。柳くん、今は仕事中。携帯はしまいなさい」


「・・・うるさいな。別に仕事中って言ったって車乗ってるだけっすよね?それともここで商談してるんすか?誰かに迷惑かけてるんすか?」
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