強引同期と偽装結婚することになりました
「言わなきゃいけないことがある」
5月中旬、あれから何個かスーパー銭湯巡りをしたもののやはり託児所付きの星の湯ほどめぼしい場所はなかった。

とりあえず、第一候補を星の湯に決めたけれど、それ以外の旅程を考えなくてはいけない。でも、星の湯がダメなときの計画は白紙のまま。

更に、食べ物ツアーならかなりのニーズは見込めるものの、対象を子育て中のママに絞ったツアーでスーパー銭湯のみなんて私なら参加しない。


「はあ。何かないかな」


資料室でいろいろと資料を探すも参考になりそうなものはない。まず、このツアーに前例がないのだから参考も何もないか。


「いっそ、ツアーの趣旨を変えた方がいいのかな」


でも、それなら意味がない。この企画を認めてくれた社長にも応援してくれて、支えてくれている優木くんにも顔向けできない。


「また、こんなところにいたのか。こんなとこじゃアイデアなんて生まれないぞ。今から、営業行く予定あるから一緒に行くか?柳も一緒だけどな」

資料室でああでもない、こうでもないと独り言をぶつくさと呟いていると、優木くんに見られてしまった。私のツアーの補佐についてくれる優木くん。


でも、他の営業にも回っていて私よりも遥かに忙しい。最近は夏のツアーの営業に回っていて外回りばかり。そこに柳くんを同行させている。
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