強引同期と偽装結婚することになりました
ユニークツアーの企画をしたい。合同説明会で話を聞いて、神戸を離れてでもここで働きたい。そう、思ってこのtrabitに就職できたものの入社当初の企画案は、本当に誰でも考えつきそうな食べ物のツアー。

「ケーキツアーに、パンツアー、ラーメンツアーにカレーツアー？？お前、食い物のことしか頭にないのか？」


社長にそう呆れられたこともあった。とにかく、食べ物なら間違いないだろうとシリーズ化していくけれど、当然、却下。

パッケージのバスツアーにはなくて、でもその対象者が食いつくバスツアーを企画しなければいけないのに、パッケージ以下だと一蹴されまくりだったのも懐かしい。


「・・・篠宮、絶対成功させろよ、この企画。きっと、このツアーを待ってる人間はいるに違いないからな、がんばれ」


コーヒーごちそうさまとタバコを消して社長が戻っていく。社長といっても、あの人はいつも社員と同等の立場で話してくれたり、考えてくれる。


でも、いざとなったら社長の立場で私たちを守ってくれる。本当に改めて仕事にも職場の人間関係にも恵まれているこの会社が好きだと思った。
< 156 / 199 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop