強引同期と偽装結婚することになりました
「優木くんの好きな人は、甘え上手なの?こういう服装が似合うお嬢様タイプなんだよね?ごめんね、私、ちっとも似てなくて。いいのかな?私なんかで。結婚式は、もちろん協力するけど籍は入れないほうがいいんじゃないかな?もしかしたらその人だって、優木くんの気持ち知ったら変わるかもしれないよ?だって、優木くんはみんなから好かれる人間だもん」

止まらない、全然言葉が止まらない。こんなこと言いたいわけじゃない。こんな皮肉めいたこと言いたくない。きっと優木くんはこんな私のことを嫌になってしまう。嫌われたくないのに。

優木くんは黙ったまま。きっと軽蔑された。恐る恐る俯いていた顔を上げて優木くんを見ると真剣な眼差しで私を見ていた。

「葵からそんな言葉を聞けるとは思わなかったから正直、戸惑ってる。でも、俺の好きな人は甘え上手でも、お嬢様でもない。俺の好きな人は・・・」

優木くんが言いかけた瞬間、鳴り響く携帯。最初は無視をしてたけれど一向に鳴り止まないことに痺れを切らして、彼は電話に出た。
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