強引同期と偽装結婚することになりました
そして、更に届いた一通の手紙。こっちに来て出来た唯一の友達、坂上千鶴ちゃんからだった。


千鶴ちゃんは私より二つ上で家が隣だったことをきっかけに年も近いこともあって、よくご飯を食べたりお互いの家に行き来し合う仲にまで仲良しになった。


でも、去年千鶴ちゃんが結婚して引っ越すことになった。その後も何度か会ってはいたけれど、次第に話や価値観が合わなくなって、私からはあまり誘わなくなった。

それでも、妊娠したと連絡を受けた時は会いに行ったり、赤ちゃんが産まれたときは病院にお祝いに駆けつけたりもした。

でも、やっぱり聞かされることが自分の子育ての話や生活の話ばかりで疲れることのほうが多く、誘われても断るようになった。


そして、彼女はある日「なんで、遊びやご飯に誘っても忙しいっていつも断るの?もう葵とは友達やめるから」とメールをしてきた。


最初は、いきなり言われてわけもわからず、腹が立ったけれど、しんどい思いをしてまで付き合うこともないかと私からは返事をしなかった。


そして、疎遠になって一年が過ぎようとしたつい最近のことだった。


葵なら聞いてくれると思ったのに、息抜きも出来ず、一人で毎日辛い。子どもと離れる時間も持てない。それなのに、葵が他の人と楽しくしてると思うと羨ましかった。という内容で手紙が届いた。


なんて自分勝手な手紙なんだ。破り捨ててやろうかと思ったけれど、ふとあの時のお母さんと千鶴ちゃんがリンクした。


私は彼女たちと同じ立場じゃないから全てを理解出来ないけれど、子育てママに優しいバスツアーがあれば気分転換にならないかな。

それが企画案のきっかけだった。
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