現実世界で捕まえて

それでも私は幸せだった。

亮さんと毎週会って
お買い物して
美味しい食事を食べる。

「見栄はって、実家の親に仕送りしたら今月ピンチ。留美ちゃんごめん。居酒屋でいい?」

私は亮さんと一緒なら
居酒屋でも立ち食いそばでもいい。
あなたの笑顔と繋いだ手があれば、どこでもいい。

でも
街を歩いていて高そうなレストランを見つけて

「この店、一度行きたいって思ってたんだ。留美ちゃんに食べさせたかったな」

そう言われたら
つい「私がごちそうします」って言ってしまう。

2月が終わり3月になると

支払いは
9割確率で私だった。

「バカですね」
同居中の死神にいつも言われる私。いいじゃん幸せなんだから。

初デートでプレゼントされた、アクアマリンのネックレスを大切に磨きながら反論。

「そんな安物」

「値段じゃないんです」

心よ。ハートなんです。

「えっちはまだですか?」

「何て事を聞くんです?そこまで答える義務はありません」

えっちは……まだです。
亮さんのマンションに行きたいんだけど「散らかってるから」って断られる。

残念な顔を見せたら「そのうちね」って言われてから耳元で

「留美ちゃんを大切にしたいんだ」と、甘いセリフをもらって

溶けまくる私です。

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