現実世界で捕まえて

「これが真実です。あなたは本当は死んでます」

グサッとくる一言だけど
この画像を見た後だから妙に納得。

そうか
私は本当は死んでいたのか……ん?だけど生きてるし。

「ここからが本題です。よく聞いて下さい」

「はい」

男は開いている本を閉じ、私の目をジッと見つめた。
綺麗な瞳をしているな。

「あなたは良い行いをしました。人の命を救いました。だから天国へ行く前に5つの願いを叶えましょう」

「なんですそれ?」

「少年の命を救いました。たまたま神がそれを見ていて、今回の該当者となって僕がここにやって来ました」

「神様が見てたの?」

「ええ。朝食前のウォーキング中にたまたまです」

たまたまって。そんなんでいいの?
もっと真剣に見てほしかったわ。

「5つの願いを終えた時、あなたの魂は天国に召されます。僕が責任を持って連れて行きます」

「5つの願いを叶えてくれるの?」

「そうです」

「なんでもいいの?」

「ちょっとした基本的条件はありますが、ほぼ大丈夫です」

「死にたくないって言ったら?」

「次点であなたが助けた少年が死ぬ事になります。僕が彼の魂を奪って天国に持って行きます」
冷たい声で男はそう言った。

私が生きればあの子が死ぬの?

「僕はそれでもいいですよ。どうします?」
手元の本に目をやりながら男はさりげなく言う。

まだ小学一年生の男の子。いくつだろう、きっと6歳か7歳……まだ、一桁でしょう。
これから楽しい事が沢山待っている。友達も作って彼女も作るはず。

私が救った命は最後まで助けたい。

「私が死にます。あの子は生かして下さい。長生きさせて下さい」
真剣にお願いすると、男は本から顔を上げ少しだけ優しい顔を見せて

「わかりました。ギネス最高齢にします」ってこれまた真剣に答えてくれた。

そこまで長生きさせろとは、言ってませんけど。
< 8 / 103 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop