地獄の果てでキミを愛す
「……あーあ……逸らしちゃったな」

「ご……ごめっ……」

「許さねぇに決まってるだろう……?」


唇を震わせながら一生懸命に俺を見る桜。
怖いから目を逸らしたい筈なのに……。
健気に俺の言いつけを守る桜が可愛くて仕方がない。


その気持ちを押し殺して俺は真顔で桜を見つめた。


ドンッ、と鈍い音が響く。


目の前の桜は涙を浮かべながらも真っ直ぐに俺を見ていた。
体が小刻みに震えていて……。
恐怖でどうにかなりそうなのを必死に我慢して。
ただ俺だけを見つめている。


そんな桜を愛おしいと思いつつ低い声を腹から絞り出した。


「今度……目逸らしたら殺すからな」


壁に押し当てていた手をそっと離す。
手はジンジンと痺れていたけど……。


そんな事どうでも良かった。
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