もっと、キスして


大貴の誕生日パーティーは毎年恒例で。


幼なじみの3人は大貴がちっちゃい頃はいちいち可愛い招待状をもらってお呼ばれしてたんだけど、


だんだん年齢を重ねて大人になるにつれてそれが言葉になり、

最初は「今年も来れるか?」とかそういう優しい誘いだったんだけど、

次第に「どうせ今年も来るんだろ」になって、

言わなくても行くようになったらしい。



ちなみに今年は凛とちのも誘っていいんだろって大貴に聞いたら、

大貴は「当たり前だろ。」って笑顔で言ったんだって。


そして今日の朝。

龍青が泰成に、

「あいつらも誘うならドレスは俺が貸すから着物がいいってなったら泰成が貸してやれ。」

って言ったらしくて。


「凛とちのちゃんはどっちがいい?

ちのちゃんはさっきドレス買うつもりだって言ってたよね。」


「うん。着物だと私ドジだから。」


「確かにちのこけそうだよね。」


「もうっ、凛のバカ!」


また可愛い。


「凛は?」


「……あ…っでも、ほんとに借りていいの?」


今なら、借りるのは悪いしっていう理由でまだ断れる。


「凛、ちょっとこっち来い。」


泰成が答える前に龍青はドアの外へと私を呼ぶ。


私は戸惑いながらもそれについて行く。


ドアを閉めると、龍青は静かに切り出した。


「大丈夫か?」


「……うん。」



龍青は全部お見通しだったんだね。

私が行かないって言った本当の気持ちとか。全部。



私、正直分からない。


誕生日パーティーなんて、自分の人生の中で聞いたことなくて。


誕生日おめでとうも聞いたことない私には、想像がつかない世界だった。


ちょっと、辛かった。


「龍青。」


「どうした?」


「私なんかが、大貴の誕生日なんて祝ってもいいのかな。」



おめでたい日、素敵な場所に。

こんな、私なんかが。


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