もっと、キスして



「どうしたの急に。」


私が問いかけると、泰成はあたりを見回して苦笑いをひとつ零した。



「ここじゃ話しづらいからさ、屋上行ってもいい?」


「うん、もちろん。」



泰成の後に続いて屋上まで登ると、ドアの横の壁には龍青が寄りかかっていた。



「龍青。」


「…来たか。」


「ほんとは龍に俺も行くって言われてたんだけど、龍が行ったらきっと物凄い騒ぎになるだろ?」


だから待っててもらったんだね。


「それにいろんな事情があって

大貴のパーティーの話はあまり広めちゃいけない話だから。」


いろんな事情。


「すでに私たちに広めっちゃってるけどいいの?」


私が素直に尋ねると泰成はびっくりしたような顔をする。


「凛ってたまに天然だよね。」


「はあ?」


何それかなり嬉しくないんだけど。


「凛とちのちゃんは特別だろ。

俺はもう5人でひとつみたいに思ってるけど。


ねー、龍。」


「俺に聞いてんじゃねえよばーか。」



龍青が悪戯っぽく笑うと、泰成はそれを見て優しく微笑む。


別に“そうだな”って言われたわけじゃないのに、
その龍青の悪戯な笑みは、当たり前だって言ってるように見えて。


すごくすごく嬉しかった。


「で、ちのちゃんは来るんだよね?」


「あ、うん。

ドレスとか今はないけど買うし。」


「凛は?」


「わたしは…やっぱりごめんけどパス。」



さっきと変わらない意向を伝える。


「着物とかドレスを俺や龍が貸しても来ない?」


「え?」


びっくりして変な声で聞き返す。


「俺んとこ老舗旅館だから着物は腐るほどあるんだ。」


「俺の母親はドレスとか好きで買いすぎて結構な数こっちに置いてってる。

それでお前がいいならいくらでも貸してやるよ。」


「もちろん、ちのちゃんも。」


「え?」


今度はちのまでびっくりした声を出す。


「私もいいの?」


「元々龍と話してたんだよ。」


泰成はここに至るまでの経緯を説明してくれた。


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