もっと、キスして
その数秒後、泰成の予告通り一瞬だけあたりが真っ暗になり、
前方の方だけスポットライトをあてられる。
そこには、厳格そうだけど優しく微笑むスーツ姿の男の人にイブニングドレスを着た上品そうな女の人。
その隣はスーツを着ていつもより気持ちちゃんとした大貴がいて、
大貴の隣には可愛らしいドレスを着た女の子と、スーツを着た男の子がいた。
「本日は皆様大変ご多忙の中、御足労頂きまして、誠に有難うございます。
先日、5月23日に壱原家の長男、大貴が18を迎えました。
新たな1年のスタートを今年も皆様ときれることに家族一同、幸せを感じています。」
しばらく男の人が喋った後、その人が大貴を呼んだ。
「俺は、何度も言っているように壱原のあとを継ぐ気はありません。
俺が今こうしてこの場に何事もなく立たせて頂いてるのは、ここにいる妹と弟、そして両親の御かげです。
妹と弟に、この家の顔になって欲しいと思っています。
そして俺は、
自由に生きた恩返しに妹や弟が伸び伸びとお家を発展させていけるように、
全力でサポート出来るようここからさらに身を引き締めて精進していきたいとおもいます。」
大貴がお辞儀をするとそれに揃って家族の皆さんもお辞儀をする。
髪はふつうの黒髪だけど。
耳にたくさんピアスがついてて。
ラブレットもあけてるし。
まるでヤンキーみたいな見た目なのに。
家族の真ん中に堂々と立っている大貴は、本当にかっこよかった。
大貴はスタンドマイクの高さを下げ、妹さんを手招きした。
「乾杯の音頭を取らせていただきます、妹の香織(カオリ)と申します。
お気持ちだけではございますが、皆さんにお料理などご用意させて頂きました。
ごゆっくりお楽しみいただければ幸いです。
乾杯」
そのセリフでみんながグラスを持ち上げると、会場は元のように明るくなった。