もっと、キスして


「身代金の受け渡しかと思った」


「失礼だな。こんな美しい誘拐犯がいてどうすんのよ。」


「確かに。」


冗談で言ったのにちのが真面目な顔して納得するからなんだかおかしくなって二人で笑い合った。


「ちのっ。」


「大ちゃん…」


「あ、大貴Tシャツ貸して少し廊下で待ってて。」


教室の扉を開けてこっちに来ようとした大貴を廊下に追い返す。


「おい、ちのに何があったのかぐらい説明しろよ凛。」


「…それは、私から説明することなの?」


「…っ」


「制服が着れる状態じゃなくていま私のブレザーかけてるだけなの。

だからTシャツ持ってきてもらった。

最低限私が言えることはそれだけ。」


「分かった…。」


「ちのにもあんま問いただしちゃダメだよ。

大貴にちゃんと話すように取り敢えず私から言っとくから、

あとはちのが自分から言い出すのを待っててあげて欲しい。」


「ああ…」


「じゃ、ここでもうちょっと待っててね。

そんな心配しなくても一応ちのは大丈夫だからさ。」



大貴の肩を叩いてTシャツをちのに届ける。


「ちの。これ着てからブレザー着て大貴の家連れてってもらって。

大貴には問いただしちゃダメだよって話してあるから、

ちのが話せるときに大貴にもちゃんと言うんだよ。」



「うん、ありがと。」


ちのがTシャツを着てブレザーを着たところで大貴を教室に呼び入れる。


「おい、凛。1人で大丈夫かよ。」


「何言ってんの大丈夫に決まってるでしょ。

それより彼女を優先してください。」


2人を残して私は1度家に帰った。


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