桜道【実話】
【グスッ…これで

よかったんだよね?】



あたしは

そっと受話器を置いた。



プルルルル~プルルルル



【ドキン!

誰?!…まさかね??】



ドキドキしながら

受話器を取った。


《…もしもし?》


「ちょっとタバちゃん!」


《あっ雛…》


ナオじゃなかった。



【あたし

何を期待してんだろ…

ナオがかけてくる訳ない

のに…ズキン】



「ナオくんに

妊娠の事言ったの?

今電話きて『本当?』っ

て聞かれて焦ったよ!

ナオくん死んじゃいそう

な声してたよ…」



【ナオが…ズキン】



《ぁ…ぅん

でも…もう終わった…

電話切られたよ!

当然だよね~ナオの子じ

ゃないんだし!!》


あたしは

無理に明るく喋った。



「そっかぁ…

そうだ!初詣でお守り買

ったから朝に届けるね!」


《わぁ!ありがとう~》




「ねぇタバちゃん…

あたしずっと考えてたん

だけど…」


さっきまでの雛とは

明らかに違う感じがした。



「タバちゃん…赤ちゃん…

産まないんだよね?

黙ってれば別れる必要な

かったんじゃないの?」



そうかもしれない。




黙っていれば

ずっとずっと

楽しい毎日が続いたかも

しれない――――





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