桜道【実話】
『どれがいい?』


《…じゃあこれ》


あたしは海の香りがする

芳香剤を選んだ。


『いい匂いだな!』


ナオも気に入ったようだ。



【前の彼女の事…

あたし聞きたくないよ】



ナオは素直過ぎるのか?



それとも

あたしが気にしないと

思っているのか?



『ここでいいか?』


エアコンの風が出る所に

あたしが選んだ

イルカの芳香剤。


『おー風が出ると海の香

りが広がるな!』


《うん~ほんと》



ナオの無邪気な姿に

あたしの心も

自然と和んでいく。




もう…

ナオの車から

あのココナッツの匂いは

完全に消えた――――



< 58 / 158 >

この作品をシェア

pagetop