悪魔に取り憑かれました。

別の悪魔

「真珠ちゃん!」


授業が終わって、帰ろうと靴を履き替えていたら白金先輩に声をかけられた。



「あ、白金先輩」


「帰るところでしょ?一緒に帰ろ」


白金先輩はいつも通り優しく笑う。


でも…



「黒川さんと帰るんじゃないんですか?」


なんとなくすねたような言い方になっちゃう。

白金先輩から目線をそらした。



「今日は真珠ちゃんと帰りたいからって言ってきた」


!?


え!?



私と帰るために、黒川さんは断ってきたの!?



予想外の言葉に唖然とした。


「だから、一緒に帰ろ?」

「…はいっ!」



…どうしよう、嬉しい………!



相変わらず雨が降っていたけど、そんなの気にならない。


白金先輩と二人きりで歩いてる……。



頭の上に悪魔が飛んでるのは別として。



「そういえば、黒川さんとクラス一緒になったんですか?」


「うん、席も隣なんだよね。俺の隣空席だったから」


「そうなんですか…」



初めて会ったのは昨日でも、二人には共通点もあるし縁もありそうだしで、かなり仲良くなってそう。


やっぱり、もやもやするなあ…。



「黒川さん、どんな人ですか?」

「そうだなあ、この間までイギリスにいたらしくて、英語ペラペラだったよ。あと明るくてもうクラスに溶け込んでた。すごいよなあ」


勉強ができて、明るくて、しかもあんな美人で…。


やっぱりすごくモテそうだな。



「…白金先輩も、やっぱりああいう人いいなって思いますよねー」



あははーと笑いながら、言いたくもないことが口から出てくる。


せっかく一緒に帰ってくれてるんだから、黒川さんの話題なんか出すんじゃなかった……。



「え?別に何とも思わないよ」


…え?



「あんな美人なのに…?」

「…あー、人気ありそうだなとは思うけど、別にそれ以上は…」



…そうなの!?


てっきり男の人は、みんなああいう人が好きなのかと思ってた。



「それに、俺が好きなのは…」


「え…?」



白金先輩がうつむく。


なに?俺が好きなのは……?



続きが聞きたくて、白金先輩をじっと見つめる。



白金先輩はゆっくり顔を上げて、こっちを向いた。


そして、口をゆっくり開いた。
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