アメトムチ
怒りやら混乱やらで震える私を見下ろしながら優しく微笑み、「 それは」 と口を開いた男の声を遮り、
「 6組の玉置じゃん 」
と玲香が何を今更、という顔で答えた。
「 6組‥‥? 」
「 そう6組 」
「 なんで玲香が知ってるの‥‥? 」
「 知ってるもなにも小、中と一緒だし 」
「 あ、そうなんだ‥‥ 」と宙に消え入るような声に自分でも驚いた。
世界で1番憎いとこの冬休みずっと恨み続けていた隣に立っている男は玲香の知り合いで、しかも同じ学校の生徒だった。
なーんだ、玲香の友達か!と笑い話に出来ればいいものの、あの時の言葉が頭の中で延々とリピートしている私には玲香と憎い男の 「 同中っていっても友達ではないんだけどね 」 という大事な言葉を聞いている余裕はなかった。