お金持ちなんて大嫌い！

私の歩みを止めるかの如く、力強くいきなり掴まれた私の右腕。


振り向くと、掴んできた人は意外な人で。


「え……？」


って、思わず叫んでしまった。


……九条海翔(くじょうかいと)。


九条財閥の長男で、桐谷と匹敵するくらいの大金持ち。


桐谷たちの御曹司グループにもちろん彼も属している。


けれどもそのグループはみんな茶色やら何やら派手な色に髪を染めてて。


桐谷なんて金髪に近いくらいの色に染めてチャラチャラしている印象に対して。


九条は1人黒髪、黒ブチ眼鏡でよく言えば落ち着いている、悪く言えば地味な印象。


それでもそんなヒエラルキーの頂点に君臨するような彼が一体わたしに何の用事があるの？