Polaris
「……バカ。バカ、バカ」
「えっ?」
「バカイツキ。嘘つき。……ちゃんと、イツキじゃない」
「え……なんのこと? 俺の名前はサトシだって言っ……」
一瞬、イツキの目が泳いだ。それを私は見逃さなかった。
ここでこの青柳サトシという人間が、私の好きな〝イツキ〟だという疑惑がちゃんと確信に変わった。
「だって今さっき、私の名前は教えてないはずなのに『唯川さん』って呼んだじゃない」
「そ、れは」
「それに……キョンキョンって呼んだ」
ちゃんと聞こえてたよ、と付け足してイツキを真っ直ぐに見つめる。
私の瞳は、もうイツキを離さない。絶対に、離してなんかやらない。
だから、イツキも観念したのか私から視線をそらす事はなく、そのまま呆れたように笑った。
「……はは、参ったなぁ。流石はキョンキョン」
「バレバレなのよ、バカ」
「ははは、ごめんごめん。でもね、俺は最初から気づいてたよ。キミがキョンキョンだって」
イツキが、再び私へ笑いかけた。
その笑顔はとても柔らかくて、温かくて、優しい。
画面越しに想像していた優しい笑顔。それを見て、私の胸の奥がキュンとなるのを感じた。