Polaris

「どうして私だって分かったの?」

「さぁ? なんとなく、かなぁ。話し方とかも電話と全然変わらなかったし……でも、まさか本部に転勤してきて間も無くこんなことになるなんてビックリだよね。ここにキョンキョンがいるなんて、まさか思わないからさ。流石に驚いたけど……でも、なんか運命的だよね」


私がイツキにぶつかってしまったあの日……イツキは、あの日に私に気づいていたというのには驚いた。

あの時、私はたったの一ミリもそんな事分からなかったのに……。


「……久しぶり。そして、初めまして。キョンキョン」


それから、ごめんね。と言ったイツキの瞳が悲しそうなのは気のせいだろうか。

それは、私の周りから消えてしまったのと何か関係があるの? どうして、そんかに悲しそうに笑うの? ねぇ、イツキ。


「……イツキ」

「何?」

「聞いても……いい? 私に会いたくなかった理由。私から、消えてしまった理由」


ゆっくりとイツキの表情を伺うと、イツキは少し驚いたような表情を見せていた。


「……何言ってんの。会いたくないわけないじゃん。会えないって言ったのは、俺自身もキョンキョンに惹かれていて、それから、キョンキョンと同じ気持ちだったから」


俺も会いたかったんだよ、と付け足したイツキの表情は、優しくて、温かい。それなのに、少し哀しくて、切なかった。

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