Polaris
まるで手探りに、何か壊れ物を扱う時のように私達は言葉を選んでいた。
私達は結ばれない運命。だから、お互い想い合う訳にはいかない。そんな風に、お互いの気持ちを悟られないように。
「他の人って、あのイケメンくん?」
「え? 三浦くんのこと?」
「そうそう、その子」
「うん、そうだね。やっと完全に気まずいのも無くなったし……」
三浦くんとは、あの病院であった日以来もう普通に話すようになっていた。特に、それに関して何かを言ったわけでもなく。ごく自然に。
ただ、そんな私達が気にくわないのか樹はつまらなそうな顔をした。
「なーんか、あの子好きじゃないなぁ」
「なんで?」
「だってさぁ……あー、いや、何でもない。会議頑張って」
樹の瞳がまた、一瞬哀しい色になる。
自意識過剰かと思われるかもしれないが、きっと樹は嫉妬しているのかもしれない。そう予感していて、私は敢えて理由を何故か聞いてみた。
しかし、樹はそれを何でもなかったかのように作りきれていない笑顔で交わす。
ここまで、私は予測していた。
樹がもし本当に嫉妬してくれていたのだとしたら、私の質問には答えない。いや、答えられないと分かっていた。分かっていて聞いた。