Polaris
「───では、本日はこのくらいにしておきましょうか。商品発売まであと一週間。お互いに頑張りましょうね」
今日の会議、打ち合わせを仕切っていた女性のひとことで会議は終了した。
商品発売まで、ちょうど一週間。
JECからナチュラルファクトリーとのコラボとして出されるプロジェクタ、それから家庭用プラネタリウム。
そして、その2つの商品の関連書籍も私たちの会社から後々発売する予定だ。
大手企業が絡むとなると、世間からの期待の声も上がってきている。そんな感じで発売前の今から話題だが、あとは、売上が良いことをただただ祈るだけ。
私は、会議室に背を向けて会議室を出た。すると会議室を出てすぐ右側に、壁にもたれた状態で立っている樹がいた。
「……樹?」
「あ、キョンキョン。お疲れ」
「えっと……何でここに?」
「何でって、酷いなぁ。また迷っちゃったら困るから来てあげたのに」
壁から背中を離した樹が「送るよ」と言って歩き出す。
私は嬉しい気持ちをグッと抑え、黙ってその後ろを歩き始めた。