Polaris
まぁ、私の注意の仕方や頻度にも問題があるのかもしれないけれど、でも、私が注意しないと後で大きなミスに繋がるかもしれないし、なにより、他にこの子たちを注意出来る人がいない。
「すみませんでしたぁ」
今日も、またこうして退勤後に今井さんに注意して、不満そうに席を立った今井さんは男性社員の元へ近寄っていく。
聞こえてくる私に対しての不満や愚痴に、少し頭が痛くなりそうだった。
「……はぁ」
もう、嫌だなぁ。
今井さんはもちろん、周りの男性社員からも痛いくらいの視線を浴びる。もう、ここに私の居場所なんてない。……なんか、息苦しい。
私は、逃げるようにカバンを持ち上げ、オフィスを足早に出た。
会社を出て、電車に乗り込む。そして、閉じたドアに右肩を預けるようにして立った。
電車に心地よく揺られながら、携帯を開いてみると、新着のメールが一件届いていた。
イツキにはメールの返事を返していないし……ひょっとして、詩織かな。
そんな風に思いながら開いたメールの送信者は、意外な人物だった。